2018年8月19日日曜日

ブオンマトット (4)

 象のあとは一旦、ブオンマタットに戻り、それからドゥレイヌア滝に向かう。これも相当に遠い道のりだった。ドゥレイヌア滝は南に下ったところだが、途中の道は結構厳しいものがある。途中からまた林の様子が変わって、両側はほとんどカシューの木になった。見渡す限りのカシューである。
 ベトナムの舗装道路は一般にメンテがよいが、このあたりはさすがに道路の傷みもあり、車は時々、道の穴を避けて大きく蛇行して走る。
 ようやく目的地の滝の入り口に到着した。そこから5分ほど歩くと目指す滝になる。15メートルほどの道を降りると柱状節理がごつごつとした足場のところから滝を間近に見る。なかなか歩き難い。かろうじて写真を撮る。ただこの場所からは中心の滝を見られるが、全体像は分からない。場所を滝の流れに沿って降りていく。すると大きな菩提樹があり、根が崖一面を覆っている。この根の迫力はまるで前衛芸術である。
 子供たちがこのあたりでは遊んでいる。肌寒いぐらいの気温だが、泳いでいる子もいる。
 だんだんと滝の全体像が見えてくる。左右に広がる非常に大きな一枚の岩である。そこから何条もの滝が落ちる。今は水量が多くないので、滝の数も限られていたが、多いときはこの岩壁全体がなるらしい。岸壁の下はえぐられて、とても深い窪みが滝全体の下に続く。
 滝の前の広場で写真を撮っていると、チン氏がもう少し先に吊り橋があり、そこからの写真がよいという。皆で移動をする。吊り橋からの眺めはたしかによい。全体像を眺め、足下の柱状節理を眺める。若いカップルは二人で写真を撮り合っている。我々もチン氏にシャッターをおしてもらう。このあと橋の上の茶店でコーヒーを飲んで休憩する。
 一服後、コーヒー園の木のなかを歩く。ここはロブスタコーヒーなので大きな葉である。もういっぱい実がなっている。
 コーヒーの次にはカシューの林があった。実の時期は終わっていたが、なかに数本、まだ実を残していたり、樹下に実が落ちている木があった。はじめてカシューがなっているところを見たのは感激である。
美しいゴークエン通り
滝からまた来た長い道を戻る。昨日は高いおみやげ屋に行って参ったが、今日はホテルに戻って欲しいと思っているとホテルの前を素通りしてゴークエン通りの一番奥まで行く。またお土産かと思ったが、実は違った。チン氏はここはエデ族が1945年ごろから住んでいる一帯で、これらのエデ族はコーヒーの栽培で大きな富を成した。この街でももっとも豊かな人々だという。表側は伝統的な長い高床式の住宅があり、その裏側に近代的な住居がある。高床式の住宅は老人が住んでいたが、これを最近はカフェにしたりしている。
エデ族の住居の入り口
大変に美しい通りである。ベトナムの小数民族というと貧困でというイメージがあるが、ブンメトンの小数民族は貧困ということはない。ダナンに帰って大学の先生と話をしたが、ブンメトンの小数民族は豊かだという。ラオスなどと比較するとベトナムの小数民族政策はしっかりとしていると多くの場所を見て思う。
 ということで一日が終わる。

(最終日)
 ブンメトンからハノイの飛行機は早い。朝6時40分にホテルを出て空港に移動する。待合室の外のまどにはチョウがたくさん飛んでいる。昨日見た緑がかった紋白蝶である。空港には2機のジェット機が止まっており、乗客は滑走路を歩いて飛行機まで行く。
 帰りの飛行機からベトナムの高原の景色がよく見えた。深い森、豊かな水量の川、ベトナムは自然豊かな国である。
 ダナンには55分後の定刻に到着。我が家に無事帰り、今回の旅も終わった。

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