2017年4月1日土曜日

歩道は誰の物か

 今日の午前中10時頃に家内と市場まで歩いた。にぎわいのある地場の
市場で買い物をしようということになり、二人で出かけたわけだ。10時頃の市場はまだ賑やかだ。鳥はかなり売れていたが、豚肉売場ではお姉さんたちがまだ包丁を振り上げてさばいていたし、エビや魚売場のお姉さんたちはまだ売る気満々である。家内が大きなエビを買って15万ドンぐらい払っている。僕は荷物運びをしながら写真を撮っていた。
 市場の帰りに面白いものを見つけた。ゴーグエン通りの工場跡地前の道ばたにリアカーのような車を止めてランの花を売っていた。余りに綺麗なので一つ買った。15万ドンというので10万ドンにと言ったが、迫力のない交渉では応じる気配もない。15万ドンで買ったのだ。まことに綺麗な花である。
 ところがその10メートル先には仏像や福禄の木彫像を売っている。すぐ側の歩道の上にはベトナム風のうどん屋が店を開いている。毎朝6時頃に店を開いて昼過ぎにはいなくなっている。

 ベトナムの人の歩道や道についての考え方はまことに面白い。日本人が歩道や道で商売を営むことはあまりないだろう。ベトナムの人にとっては歩道やひょっとすると道路も私的な空間と感じているようだ。
 それを感じる場所が我が家のそばにある。

1.私的に整備された歩道
(1)これはある立派な家の前の歩道である。歩道に他の歩道と異なり、街路樹を植えるボックスが多めに造ってある。きれいに整備されている。


2.サボテンと植木鉢が並ぶ
(2)自分の家の前の歩道を歩けないようにサボテンの鉢が置いてある。

3.歩道にベンチ



(3)歩道にベンチがおかれて通れない。



4.歩道にビール箱
(4)飲み屋をやっているらしいが、歩道にビールの箱を積み上げて通れない。



 写真はないが、ときどき家の前の道路の上に大きなテントを張って結婚のお祝いの宴会をやっている。また我が家のそばに大きな仏像の木彫をやっている家がある。若い男の子3名ほどがいつも大きな木材を相手に格闘しているのだが、それは家のなかではなく、完全に歩道を占拠して行われている。
 どうも彼らにとっては、道路は公的かつ私的な空間であり、歩道に至っては完全に私的な空間のようだ。そうでなければ、歩道を遮ることもないだろう。
 前期の開発経済学の講義でダナンの観光の将来を話したときに歩道の話をしたことがある。道路を安全にして歩道を歩けるようにすることがダナンへの観光客のリピーターを増やすのに大事だという話をしたのだが、学生たちの反応はあまりはっきりしなかった。
 先日のベトナムニュースに、ホーチミンのある道路で歩道の障害物を除くキャンペーンが始まったとあった。「歩道を歩行者のために」と、歩道の上での飲食店営業を禁止し、また障害となるようなバイクやその他の物を強制的にどけるようにというキャンペーンである。笑い話のようだが、これはかなり抵抗があるだろうと想像できる。
 いずれベトナムの歩道も安全に歩ける日が来るのかもしれないが、相当に先だというのが偽らざる実感である。

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