2016年10月16日日曜日

ベトナムでのインターネットマーケティング

 一昨日に出席したダナン経済大学での"Marketing in the Connected Age (MICA)" セミナーのことを思い返している。私はマーケティングの専門家ではないが、ベトナム社会を理解する上では非常に面白いセミナーだった。

1.現金決済が基本の社会でのE-commerce
 今回参加した英語セッションでの発表は、多くがベトナムのインターネットなどを使うマーケティングについての発表だったのだが、それを聞いているうちに面白いことに気づいた。日本でもしこのテーマがでるとすれば、アマゾンや楽天などの通販型の小売や、そしてセブンイレブンのネットと店舗の組み合わせ販売などのテーマが出てくると思うのだが、ベトナムではアマゾンや楽天のような話はほとんどない。むしろFacebook, Googleなどを利用しての広告効果や、日本で言えば「ぐるなび」のようなサービスを提供するFoody.vnなどという店舗紹介サービスなどがテーマである。E-commerceと言っても宣伝にSNSなどの媒体をいかに使うかがテーマなのである。そこではインターネットと実店舗の組み合わせが主流である。そこで周りの先生と話をしたのだが、ベトナムではアマゾンや楽天のような物理的な店舗なしの商売は難しいという。先生方との話では三つぐらいの理由が考えられる。
 一つは、決済が難しいとのこと。以前にもこのブログで書いたが、ベトナムでは現金決済が基本で商品の引き渡しと決済は同時でなければならない。クレジットカードによる決済はまだ十分に普及しているようには見えない。
 二つ目は、商品の引き渡し時に決済を完了しないと商品を渡せない。クレームを付けられて決済をしないということがあり得るようだ。
 三つ目だが、商品のデリバリーにも問題がありそうである。まず郵便制度は信じられない。ふつうの郵便はいつ着くか分からない。宅配便はあるので、これで送るらしいが、日本と同レベルとは思えない。(これは要確認である)
 以上のような理由があり、E-commerceとはいえ、日本やその他の先進国とは異なる視点での議論となるようだ。
 
2.米系サービスが圧倒するマーケティングシェアー
 資料の中に2010年から2015年のベトナムにおけるインターネットでの宣伝広告収入シェアーについての推計が出ている。これによればFacebookが急速にシェアーをのあばしており、2010年にはほとんどゼロであったものが、2015年にはベトナムの広告収入シェアーの43%と推定されている。つづいてグーグル(30%)そしてその他がベトナム系の大手4社とその他となっている。
これから想像されるのは、スマホでいろいろな宣伝を見たり、他の消費者のコメントを見て、気に入った物を見つけると、近隣の店にバイクで向かい、現金で買い物をする消費者ということだろう。

3.将来性
 ベトナムにおけるインターネット媒介のマーケティングについてはきわめて有力な媒介との判断が多かった。それはインターネットの普及率が高いこと、ベトナムの人がSNSをよく利用することがあげられる。また近隣諸国との比較ではビデオ映像もよく利用されている。
 これらの情報は当地での商売を考える日本企業にも参考になるのではないだろうか。

 セミナーの発表者は5人だったが、そのうちの2名が女性の学部学生だった。既存の論文のレビューをしっかりと行っており、たいしたものと感心している。

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