2016年11月12日土曜日

ダナンが国際観光都市になるためには?

 先週の講義でダナンの交通と京都を比べる話をした。あまり講義の部屋がよくなく、午後になると太陽が差し込み、あまり見えないので、折角用意したスライドが十分に見えなかったが、まあしょうがない。
 そのなかでダナンの街の歩道で人が歩けないことを示して、国際観光都市であるためには歩いて街を歩けることが大事だということを一生懸命に話したが、どうも学生諸君にはピンとこないようだ。

1)ダナン市の将来像と交通システム
 ダナン市は将来の柱の産業として、環境に優しい知識集約産業と並んで、観光もその柱としている。この街に3ヶ月住んで、多くの問題があると感じている。最大の問題は交通システムである。
 ダナンの交通については、前回も書いたが、世銀とJICAがそれぞれにプロジェクトのための調査を行っており、問題点はよく把握されている。ただこれが実施できるかは分からない。 
世界銀行:Vietnam Urbanization Review - Technical Assistance Report 2011
JICA報告書:ダナン市都市交通改善プロジェクト報告書
 たとえばダナンの街には交通信号があるが、これは2008年から2012年にスペイン政府の支援で出来たようだ。それに交通関知システムがついているらしいが、これはバイクの感知ができず、あまり機能していないとJICAのレポートにはある。住んでいるとたとえば市内の主要な観光の中心となるTran Phu(チャンフー通り)の信号は動いていないときもある。動いている限りはダナンの人たちはほぼ信号を守っているが、動いていないときは道路横断は外国人には大いなるチャレンジとなる。

2)少ない外国人訪問者 
 小生は京都から来ているので、京都を訪れる外国人観光客数も調べていたが、この3年ほどで急増している。確かに京都の街を歩いていると外国人観光客が非常に増えていて、八坂神社や祇園などは夕方に行くと外国陣観光客しかいないのではないかと思うほどだ。
 ダナンの街は観光で人気が出てきたという割には街中で外国人を見ない。中国・韓国の観光客が多いせいもあろうが、それを勘案しても少ない。どこかに年間の外国人観光客は30万人と出ていたように思う。(この資料をもう一度探さねば!整理が悪い)京都での外国人観光客の宿泊数は年間のべ300万人である。この比較はほとんど意味がないが、街を歩いている実感はとにかく少ない。一つの理由は海岸沿いのホテルに滞在し、ダナンの街にはほとんど出ない。観光は直接、隣接のフエとホイアンに流れているのだろうということは容易に想像できる。そのためにダナンの都心では外国人客の姿をあまり見ないというのが小生の印象である。

3)歩く街を作る
 ダナンはもっと歩きやすい街を目指し、外国人がベトナムの都市を満喫できる雰囲気を作るべきだろう。ダナンでは人々はバイクが自分の手足と一緒になっているので、長い距離を歩くということがないのではないかと思うが、外国人観光客は歩くのが大好きで、現に真夏の京都でも京都駅から三十三間堂まで歩いている。気温が38度近くても歩いて回ってくれる訳だが、ダナンの若い人にもそれが分かってもらいたいと思う。
 歩道が商品やバイクで埋まってしまい、安全に歩けないのも問題だ。小生は一度バイクや椅子を避けようとして転んでしまい、危うく腕を折るところだった。
歩道は商品とバイクで歩けない

4)こと消費への誘導
 ダナンには海岸以外にそれほどの観光資源がないように見える。近隣のホイアンやフエを含めても、おそらく車で回れば4日もあれば終わってしまう。ダナンに1日、ホイアンに1日、フエに2日もあれば終わってしまいそうだ。
 ただそれは表面的な観光地巡りであればの話だ。今の世界はより「コト消費」が注目されている。ダナンにはこれが出来るのではないだろうか。たとえばダナンには漁業がある。大理石の細工もある。農業体験も可能かもしれない。ベトナム料理やアオザイもそうであろう。
 ダナンがベトナム中部観光の一大拠点として将来もあるとよいのだが。

0 件のコメント:

コメントを投稿