2017年12月18日月曜日

床屋の値段と購買力平価

 これまで世界の色々な街に住むことが出来た。どの街に行ってもしばらく住むと困るのは床屋を探さないといけないことだ。

 人間、髪の毛は毎日伸びる。だから月に一度ぐらいは床屋に行かないと原始人のようになってしまう。銀行員や大学の教員はそれでは仕事にならない。フランクフルトではフランクフルターホフという高級なホテルの地下にある床屋に出掛けていた。ニューヨークのウオールストリートでは近くのビルの地下の床屋でアラブ系の床屋さんに髪を切ってもらっていた。気に入った床屋に出会うまでに何回か失敗する。

 ベトナムではこれまでに3カ所の床屋に行かせてもらった。最初は都心の目抜き通りの床屋。きれいな店で多くの店員がおり、皆でおしゃべりをしている。ここは20分ぐらいかけて髪の毛を切る。これが8万ドン(4百円)、次が日本人のレミさんという人がやっているサロンでこれは40万ドン(2千円)。

 年末までにレミさんに行こうと思ったのだが、レミさんは予約がいる。なかなか電話が通じない。髪の毛は毎日伸びる。そこで今回は家のそばのカリスマ床屋に行った訳だ。値段は3万ドン(150円)短時間でサービスも何もないが値段相応ではある。以前にダナン大学での講義で学生と床屋代について話したことがった。どうもダナンでは普通の値段のようだ。顧客の求めるサービスと値段をどう考えるのか。これは高いのか、安いのか。

 そんなことを考えているうちに思いはPPPのことになった。
 経済学では多くの統計がある。特に開発経済学などでは「購買力平価(PPP=Purchasing Power Parity)」というものをよく使う。各国の生活に必要な商品やサービスのバスケットを作り、これの値段を比べることで各国の通貨の実質的な購買力を比較しようというものだ。ペンシルバニア大学などで研究が進んでいる。

 ただ本当にこれが意味のある指標かということには首をひねることも多い。
 ダナンにいると野菜や肉などの購買力はドンには円の3~5倍くらいの購買力があるのではないかと思う。ただ床屋などのサービスの比較は難しい。レミさんの顧客は外国人かベトナムの高所得層だろう。ダナンでは通常の床屋でも、都心の英語の通じない高級床屋と1キロ離れた床屋の値段の差は3倍ほどある。はてどちらの床屋を取るのだろう。途上国に住むことは本当に面白い。ぜひ若い人にも年寄りにも勧めたい。

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