2017年5月22日月曜日

大学の国際化 英語での情報の必要性

1. 英語での情報の必要性
 ダナン大学に来て大学の国際化は本当に大事だと思うようになった。ダナン経済大学はとても良い大学だと思うが、外国人教師の受入実績は乏しいようだ。私の場合にはほとんどボランティアで来ているのでよいが、まだまだベトナムの大学では経済的には外国人を雇うのはしんどいだろう。私を直接サポートしてくれる国際部門は英語の出来る人が揃っており、これ以上はできないという位に面倒をみてくれる。ただしその他の部門では英語の出来る人は少ない。そのためのストレスは決して無視できない。
 何よりも大変なのは大学のなかの教務システムがベトナム語で出来ていることだ。英語での情報量は少ない。たとえば教務情報システムはすべてベトナム語である。見よう見まねで覚えて、最近はグーグルの翻訳機能などである程度の理解はできるようになったが、問題が生じた時はどうしようもない。国際部の誰かに頼むのも気が重いがしょうがない。
 
2.京都大学での経験
 京都大学に着任した2004年当時のことを考えると、京都大学も現在のダナン経済大学と同じようなレベルにあったのではないだろうかと改めて思う。2009年に日本への留学生を30万人に増やし英語のみでも卒業できるコースを増やそうというグローバル30が始まった。講義を受け持ってくれる外国人教員にもっと来て貰おうということになり、実施の責任者を任された私も、国際経験豊かなI君とA君という東京銀行時代の友人にグローバル30本部に招へいして色々な改善を図った。そのなかの一つに大学のなかの多くの文書を英訳したことがある。
 これらの文書には大学内のさまざまな勤務規定、出張の規程などをはじめ膨大なものだった。大学のなかだけで済まないものも多かった。健康保険や社会保険、税金、水道やガスの請求書、ゴミの出し方などの外部文書もずいぶんと苦労して集めた。困ったのはクラシスという教務システムが日本語で出来ており、英語でのサービスがなかったことだ。このためクラシスの翻訳を作り、冊子で配って急場をしのいだこともある。クラシスは現在では完全に英語化されている。
 英語での情報発信は国際化の第一歩である。ある会合では全部日本語なので、私が英語での翻訳を挟むように変えたら、会合のあとでグローバル30で雇用された外国人教員から礼を言われたこともある。その人たちの気持が改め分かる。
 今回、自分が海外の大学で教えてみて、外国人教員が日本に来て教えることがいかに大変だったろうかと想像が付くようになった。もちろん2004年当時と今では日本の大学も大きく違っている。京都大学では数百科目の英語での教養科目が提供されている。私が去ったあとも多くの改善が行われているだろう。しかし便利になったとはいえ、まだまだ英語と日本語の情報量の差はある筈だ。地道だが継続的に外国人教員に彼らが感じる問題点を聞き、改善していく努力が必要だろう。 

3.大学ランキング向上のためにも必要
 残念ながら日本の大学のランキングが下がり続けている。私も日本の大学の世界的な評価を上げようとずいぶん努力した積もりだが、そう簡単ではなかった。大学のランキングを引き上げるには多くの地道な努力が必要だ。それはおそらく大学だけの努力ではなく、日本で暮らす外国人の人のための広範なサポートも含まれる。
 今回の海外での教育を通じて考えることは本当に多くある。ぜひ多くの教員の方に海外での研究や教育を経験した貰いたいと思う次第だ。

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