2018年4月14日土曜日

フエへの鉄道の旅 (1)寝台列車に乗って

 昨日の夜11時頃にフエから帰った。寝台列車でフエに向かい、帰りはまた寝台列車の旅である。今回で2回目のベトナム列車の旅だが、大変に素晴らしい。
 フエは今回は前回とまったく異なるところに出かけた。
 金曜日の朝9時に我が家を出て9時35分の列車に乗る。4人のコンパートメントでベトナムの若い二人連れと同室になる。二人で大音量でスマホのテレビを見ている。これなら気兼ねを要らない。きわめてベトナム的ではある。カラオケと同じである。ベトナムの人はあまり騒音公害は気にしない。早朝から大音量のカラオケをやっていたりする。列車のなかも同じである。
 フエまでの車窓の眺めは素晴らしい。ダナンの北の外れにあるラグーンからベトナムを南北に分けるハイバン峠にさしかかる。ここからは車両の右側が急峻な崖になり海に落ちている。ハイバン峠の山は大きな岩の集積のようで波打ちは大岩の磯になっている。海は真っ青に澄んでいる。操業をしている漁船も見える。ダナンで売っている伊勢エビなどもこの辺で採っているのだろうか。
線路は全線が単線である。ところどころに交差のための複線区間があり、いくつかは駅になっている。ここで列車は暫く停止することが多い。ハイバン峠にも駅があるが、停車はしても乗客は降りられない。ハイバン峠からの急な下りにところどころは鉄砲水の出そうな谷や水路もある。そういう要所には人が立っており、列車の無事な通過を見守っている。
 車窓から見える海までの森は熱帯らしい森である。小菊や紫サルビアなどが咲いており、ところどころクズの葉が一面に斜面を覆っている。家内に言わせるとクズ粉が市場では売られている。このクズから採るのだろうか。ただ日本のクズとやや異なる。葉っぱがやたらに大きいのだ。日本のクズの4倍ぐらいはあるだろう。ダラットで柿の葉っぱが人間の顔よりも大きかったことを思い出す。無事ハイバン峠のトンネルを抜けると列車は蛇行を繰り返しながら、やがてランコービーチを見渡す場所に来る。ここにはハイバン峠に上る道路との交差点がある。ここからのランコービーチは美しい。
 右側に真っ青な川が、やがてラグーン、そして蠣などの養殖をする海辺と景色は次々と変わる。そのうち列車は海岸線を離れて田園の中を走る。真っ青に育った広大な田圃を通り過ぎる。沿線には民家や寺院、そして墓地も見える。ジャックフルーツの大きな木には大きな果実が実っている。シナモンとおぼしき林も点在する。あまりに眺めがよいので、夫婦二人でコンパートメントから出て列車の廊下から眺めているうちにフエの街に入った。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿