2018年4月8日日曜日

Tam Ky ベトナムの鉄道 タムキーへの旅(1) チャム文化の遺跡 Chien Dan

3月31日
  タムキーの駅に降りて、ここからはホテルまでわずか4百メートルほどなので歩く。駅にはタクシーやバイクタクシーが待っているが降車する人は少ないので、我々にたくさん声がかかる。その声を振り切ってホテルまでゆっくりと10分ほどの道を歩く。
 ホテルはタムキーではもっとも大きなモンタンホテルである。このホテルはベトナムの全国チェーンであり、これまでもディエンビエンフーで泊まったことがある。食事のおいしいホテルだった。
 タムキーのモンタンホテルはとても大きくて新しい。フロントにフアンさんという女性がおり、日本語で迎えてくれた。部屋は大きくて眺めもよい。これで一泊二人で5千円である。タムキーはカンナム省の省都であり人口は8万人ぐらい、大学の同僚のベトナム人が「タムキーには何もないよ」と言っていたぐらいで、外国人観光客の来るような場所ではないらしい。
 家内はディエンビエンフーのモンタンホテルの食事が美味しかったのを覚えており、お昼もここで食べようという。そこでホテルの食堂に行くとお客は我々だけ、広々とした食堂で食事をする。昼食は私はフォー、家内はアヒルのシチュー。両方ともすばらしくうまい。
 ゆっくりとした昼を終えて、2時過ぎから活動を開始する。今日どうしても見たい物はチャムの寺院である。このタムキーには二つのチャム寺院の遺跡がある。タクシーに乗って、この二つの遺跡に行きたいと説明する。運転士はちょっと迷ったものの無事到着、こちらはChien Dan遺跡である。遺跡の入り口には特に扉もない。中にはいると広々した野原のなかにチャム寺院の遺構が立っている。
 管理をしていた人が遺跡の発掘物の管理庫の扉を開けてくれる。中には数は多くないが、寺院を飾っていたであろう彫刻が並んでいる。仏や人物と混ざって多くの動物もある。ライオンなどはあまりに可愛すぎる。
 遺跡は三つの大きな塔から構成されている。三つの大塔の正面には遺構のあとと思われる四角な窪地もある。おそらくはここにも何らかの構築物があったのだろう。
 この遺跡は真ん中の塔が最も大きい。建物の外壁はほとんど剥落しており、中の煉瓦がむき出しである。煉瓦の赤い色が美しい。いずれの建物もヒンズーの寺院の独特の形をしている。中にはいるとここに飾られていた神像はなく、簡単な石が祭壇代わりに置かれている。暗いが、入り口から入る光を反射するものがある。苔である。この苔は何か蛍光材を含むのだろうか。
 ぐるりと3塔の周りを巡る。中学生ぐらいのベトナム人の女の子たちが写真を一緒に撮っている。我々を見て外国人と言っているようだ。
 建物の周囲にはわずかだが、基盤の周りを囲む砂岩の彫刻が残されている。踊る人物たちである。これは美しい。
 周りは緑の林と緑一色の草原である。熱帯の草木に囲まれながら、これらの塔は千年以上の時を経てなお立っていると思うと一種の感慨がある。

0 件のコメント:

コメントを投稿